たろちんの感情の奴隷ブログ

やむを得ず社畜と化したたろちんが、お金にならない文章を思いついたときにだけ更新されるプレミアブログです。

あなたは数年後に「あの頃はよかったなあ」と思える今を過ごしていますか?

私は人間界に降り立って以来、今年で10万29年目を迎える悪魔なのだけれど、これは人間界で言うと「若手」から「中堅」へと移行しつつある年齢である。よっていかに悪魔の私といえども、多少は人間的なターニングポイントを意識せざるをえないというのは、私より約10万歳若い皆さんにとっても自明の理であろうと思う。

人間界における1年のスピードは恐ろしく速い。悪魔で言うと大体年齢から10万歳引いた年齢が人間界のそれにあたると言われている。私もここ数年は一人前の悪魔としての自覚が芽生え、毎日一人で壁に話しかけながら酒を飲んでいる。そうするとだいぶ胸中に黒いものが溜まってきて気分が滅入るので、かなり悪魔的な気持ちになれる。多大な精神的苦痛を伴うので人間の皆さんにはおすすめしない。

私が悪魔をサボっていたころの話をしよう。私は数年前まで人間界で多くの友人たちと行動を共にし、酒を飲み、人間のフリをして「ヤッパサイコーノナカマダ」などの禁じられた呪文を連発して極めて陽気に暮らしていた。悪魔をやめてたので収入はなかったが、今でも「あの頃はよかったなあ」などと感慨に耽ることがある。なお、それをやると悪魔的には大幅な減棒になる。社会保障もない。

時は経ち、心を入れ替えて真っ当な悪魔となり、悪事を続けては一人で酒を飲んでいた私に向かって壁が「あなたは数年後に『あの頃はよかったなあ』と思える今を過ごしていますか?」と話しかけてきた。

10万30歳を超えた先輩方(デーモン閣下など)には言うべくもないことだが、壁くんの質問ははっきりと愚問である。私は数年後も今を思い返して「あの頃はよかったなあ」と言うことであろう。

それは悪魔としての暮らしも悪魔的には悪くないし、悪魔界の友人とたまの休みに酒を飲んだりすることも悪くないからである。そしてこれからあと数年悪魔として成長すると、休日出勤で人間の悪口を言ったりせねばならず、たとえば生まれたばかりの10万0歳の赤子をろくに抱いてやることもできなくなる。だが、それが悪魔の生きる道なのだ。それに比べれば今の悪魔暮らしも「あの頃はよかったなあ」と言うに値するだろう。ちなみに人間界で最も優秀な悪魔はワタミすき家などのワンオペを任されている。

私は比較的イレギュラーな悪魔であったため、人間に対する理解も厚い。人間界に生まれてきてよかったと思っている。しかし、やっぱり悪魔ではなく人間として生まれてこれたらよかったなあと思う。